7月にも取り上げました、、森達也さんのエッセイ。
今月も紹介します。

母の友っていう小さなお子さんを持つ親御さんのための本ですが、これにちょっと過激な(^^)森達也さんのお話を表紙開いてすぐのところに載せているところが気に入りました。やるね!福音館書店。
メディアは危機を煽る
二十世紀初頭における映画とラジオの誕生がこの世界にファシズムを生み出したとぼくは前回に書いた。識字(リテラシー)を必要としない媒体だからこそ、ナショナリズムや国威発揚などの情緒と、映画やラジオはとても相性がいい。
第二次世界大戦が終わり、枢軸国体制(日本、ドイツ、イタリア)は崩壊した。つまりファシズムがとりあえずは瓦解した。でもメディアはきえるどころかさらに発達した。映画(映像メディア)とラジオ(放送メディア)が融合して、テレビジョンという画期的なメディアが誕生し、日々進化を遂げている。
かつてナチスドイツは、「このままではゲルマン民族は衰退する」と思いこみ、当方への侵略を開始した。かつて帝国日本は、「このままでは石油の輸入を止められて国が滅ぶ」と思いこみ、アメリカへの開戦を決意した。メディアはこの時に大きな潤滑油になった。
ならばなぜ、メディアはなぜ危機を煽るのか?
その答えはとても簡単。「危ないぞ」と危機を煽るほうが、視聴率や部数は上がる。「冷静になろう」と沈静を呼びかけたら、視聴率や部数は下がる。メディアのほとんどは営利企業だ。つまり視聴率や部数は売り上げに相当する。これを追うなといっても無理なこと。
つまりメディアは、そもそもが危機を煽るように宿命づけられた存在なのだ。北朝鮮報道を思い出して欲しい。あるいはオウムでもよいし、最近の猟奇的な犯罪多発の報道でもいい。メディアは危機を煽る。その結果、不安に陥った社会は、安心を求める過程で仮想的を設定する。なぜなら敵が見えない状態が一番怖いから。こうしてメディアによって設定された仮想の敵が出現する。あとは先制攻撃。戦争はこうして起きる。
だからメディアへのリテラシーは必要。メディアのためではなく僕たちのために。僕たちの子供のために。メディアの情報を鵜呑みにしないこと。たったそれだけで、この世界はきっとそれまでとは変わって見えるはず。だまされたと思って試してみてください。
森 達也
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